9月17日

 なんでそんな犬猫にだけ過剰反応するかってとさ、やっぱりしんどかったんよ。前に飼ってた黒猫とかさ、そんな年でもなかったんだけど結構重い病気になっちゃってさ、顎とかパックリいっちゃってるわけ。で、腹からチューブつっこんでそっから栄養剤つっこんで、もうさあ、しんどいわけ明らかに。で、毎月何万もかかって、そのたびに微妙な気分になるわけ。でも殺せないよ。だってさ、もし猫語がわかるとしたらさ、あいつらはこう言ってると思うのよ。「ねえ、誰?誰?苦しい!助けて!怖い!ねえ、誰?誰?助けて!怖い!辛い!誰?」って言ってるよ。さんざん看病して、お金つかって、ようやっと死んだ時はさ、正直ほっとしたんだよ。それはつまりさ、「おれら最後まで頑張ったよな!ダメだったけど!」っていう、お互いがお互いの敢闘を讃え合うみたいな状況が無理やりにでもできてたからなんだよ。でも大変なんだよそこまでやるのは。一番可愛い時にさ、貰ってくださいなんつうてTwitterカチカチやんのなんてなんのリスクもないじゃん。ズルいじゃんそんなの。動物と暮らすことは辛いことだよ。愛してしまうんだから。このあいださくらが死んだ時なんて、もうさ、わかるわけ、あ、あと数日かなってのはさ。おれは毎晩思ってたよ。おれの人生の99%を捨ててもいいから彼女を救ってくれって。一番大事なのは自分だからさ、100%はないよ。でも、一時的な気の迷いのようなものだけれど、あの時、あの俺は、少なくとも本気で思っていたんだよ。99%を捨ててもこの命を長らえたいって。それくらいに重い。生き物の命が重いんじゃないんだよ。愛するものの命が重い。肉を食べることに罪悪感はないよ。そこには愛がないから。愛は、そんな簡単に、手軽に、扱えるようなものじゃないんだよ、きっと。