12月13日

 「おれはずっと誰かのために生きてきたのね。それは別におれが立派だとかそういう話じゃなくて、単に「そういうコース」を選んだ、というか。実際「自分のため」に生きるより、「誰かのため」に生きるほうがスムーズだったり楽だったり儲かったり愛されたりとかメリットもいろいろあると思うんだよね。なんだけど、ちょっともう、やりつくしたというか、結構それはもう極めたなっていう実感が、急に降りかかってきたんだよ。一昨日くらいに。別に誰かのために何かをして、見返りが欲しかったとかじゃないんだよ。それは山に登る行為に似ているんだよ。地面がぼこっと膨れていて、それだけのものなのに、そこにわざわざ登るなんて酔狂だと思うんだよね。そして個人的だと思う。辛いのも自分。苦しいのも自分。目標に到達して、満足するのも自分。そこに山はあるようで、ない。いや、こんなことが言いたかったんじゃなくて。つまりなんというか、ぼくはそろそろ、ぼくのために生きてみたい。ぼくのために、そのために誰かのために生きる、とか、そういう面倒なあれじゃなくて、ぼくはぼくのために生きてみたい。そのためにたくさんのさよならを、そうだね、ちょうどタイミングだと思うので、今年のうちにしてしまいたいと思うんだよね」